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Koenig & Bauer の枚葉オフセット印刷機Rapidaならではの先進技術が驚異的な実績を具現化しました


ポーランドのMMP Neupack Polska社では毎年、17億アイテム/2億1000万枚をB倍判の大型枚葉オフセット印刷機を駆使して生産しています。その経緯や背景について、MMP Neupack Polska社でオペレーション・ディレクター兼取締役を務めるFilip Krajewski氏に話を伺いました。


2024年1月29日 ラデボイル

 オーストリアのMayr-Melnhofグループ傘下のMMパッケージング社は世界最大級の印刷会社で、64の生産拠点を有する、ソリッドボードを使用したパッケージ生産のスペシャリストです。同グループはポーランドにも複数の生産拠点を持ち、それぞれの拠点では異なる製品に特化した展開をしています。その拠点の1つがブィドゴシュチという街に位置するMMP Neupack Polska社で、オフセット印刷によるソリッドボードや段ボール製のパッケージを生産してます。


 Koenig & BauerはMMP Neupack Polska社へ長年にわたって製品を納めてきたサプライヤーであり、パートナーでもあります。最新鋭の生産施設として定評があるMMP Neupack Polska社で稼働している機械設備には、B倍判枚葉オフセット印刷機の「Rapida145」が4台と、フォルダーグルアー(製函機)の「Omega」数台を取り揃えています。MMP Neupack Polska社に2000年から籍を置き、現在は同社でオペレーション・ディレクター兼取締役を務めるFilip Krajewski氏にインタビューを行い、 両社の長年にわたるパートナーシップ、MMP Neupack Polska社の現状、そしてこの拠点が遂げているダイナミックな成長について話を伺いました。


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 ――1990年代末にMMP Neupack Polska社はMayr-Melnhofグループに加わりました。それからMMP Neupack Polska社はダイナミックな成長を遂げており、あなた自身もその一端を担ってきました。そんな会社の概要についてお話しをしてください。


Krajewski氏:私がMMP Neupack Polska社で働き始めたのは2000年で、その当時、会社はMayr-Melnhofグループの一員となってから数年が経っていました。その頃はすでに、当社は段ボールパッケージの生産に特化していました。それからも、製品ラインナップの広さ、生産技術、後加工といった1つ1つのあらゆる面で洗練さと改良を重ね、進化し続けています。このような進化を追求する姿勢は機械への設備投資についても同様で、グループの全拠点において、最先端の印刷会社像を具現化させています。それを証明する一例となりますが、現在稼働している印刷機は、導入から10年以上経っているものは1台もありません。

 当社にとってもっとも貴重な財産は従業員です。現在の当社の成功は、なによりもまず献身的な働きをしてくれているスタッフ達のおかげで、売上高が毎年2桁パーセントの成長を達成しているのもすぐれた従業員がいてくれるからこそです。当社は、食品や飲料、衛生用品や清掃用品、化粧品などといった日用消費財に関する国際的なメーカー・ブランドと協力関係にあります。彼らは当社のもっとも重要な顧客であり、当社が生産した製品のほぼ半分がポーランド市場向け、残りは主にドイツ、フランス、イギリス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクなどのヨーロッパ諸国に輸出されています。昨年はこれらの国々向けに、約17億点のパッケージを生産しました。今年は、その生産量がさらにいっそう増加すると予測しています。

 当社の生産量の約60%が段ボール製パッケージで、残りの40%がソリッドボードのパッケージとなります。もちろんどちらの原反であっても、多色印刷をした後、さまざまな仕上げ加工を施したパッケージとして出荷されます。



 ――とくに最近の数年はさまざまな予期せぬ出来事がありました。そのような事態があったにも関わらず、本当に素晴らしい業績だと思います。そのような予期できなかった数々の出来事が、貴社の成長軌道に影響や打撃を及ぼすことはありませんでしたか?


Krajewski氏:相応の技術的背景、原材料の安定供給(その大部分はMayr-Melnhofグループの工場から供給されている)、さらに製品ポートフォリオの広さと日用消費財分野の主要メーカー・ブランドの支援のおかげで、当社はこの時期を無傷で乗り切っただけでなく、さらなる成長を遂げることができました。ここ数年は、工場技術の進化に向けて多額の投資を行った時期でもありました。機械や設備を体系的に進化させること、これこそがどのような印刷会社にとっても成功の原動力であると考えています。その考え方に沿って当社では、2019年から2023年にかけてB倍判の枚葉オフセット印刷機や全自動フォルダーグルアー(製函機)など、一連のパッケージ印刷・加工機を増設したのです。



 ――新規導入されたソリューションの多くはKoenig & Bauer製の製品となります。Koenig & Bauerは貴社にとっての戦略的サプライヤーとしての役割を果たせていますか?


Krajewski氏:グループの各工場で導入する機械の選定は、基本的にはオーストリア本社で決定しています。ただし、各拠点の印刷会社の経営者として、どのようなニーズや要件があるのかをオーストリア本社へ明確に示すことで、導入機を選定する過程で積極的な役割を果たしています。Koenig & Bauer製の印刷機は、ここの拠点でつねに活躍し続けています。私がここで働き始めた頃は、かなり年季の入ったプラネタが稼働しており、印刷機はB1判機がラインナップされていました。 先ほど申し上げたとおり、それから何年にもわたって絶えず、当社の機械設備は計画的に進化されてきましたが、2018年はKoenig & Bauerとのパートナーシップにとって重要な年となりました。Koenig & Bauer CEE(中央・東ヨーロッパ)の経営陣との会議を行い、そこで私たちはパートナーシップのための計画・概要を説明し、導入する機器とそれに付随する包括的なサービスおよび技術サポートの両方に関して、私たちの期待を明確にしました。



 ――この会議によってどのような成果が得られたのでしょうか?


Krajewski氏:簡単に言いますと、Kosnig & Bauerとのパートナーシップが賞賛に値する形で進んでいることが、当社の生産スペースを見て回ってもらうとわかります。たとえば、ここ数年の間にB倍判印刷機「Rapida145」4台を新たに導入しましたが、それらの印刷機はさまざまなバリエーションのユニット構成となっています。そのうちの1台にはコールドフォイル加工をインラインで施すことができるユニークなオプションが装備されています。このタイプの仕様の印刷機は当社にとって2台目となりますが、この印刷技術はMMパッケージング社のグループ内だけでなく、市場全体におけるパイオニア的存在となっています。

 Koenig & Bauerの製品ラインナップにポストプレス・ソリューションが加わったことにともない、当社もポストプレス分野への投資を行い、「Omega」フォルダーグルアーを数台導入しました。 「Omega」フォルダーグルアーの特徴は、印刷されたパッケージ製品のブランクスを、全自動で折り・糊付けをして組み立て、なおかつ倉庫やロジスティクスの全システムへの統合も図れることです。



 ――これらの投資によりMMP Neupack Polska社は、グループ内でもっとも進化した印刷会社になるとご評価をいただきました。これらの「Rapida」印刷機や後加工機は、貴社の生産効率にどのような効果を与えましたか?


Krajewski氏:2022年には「Rapida」によって、B倍判で1億8900万枚にもおよぶ量の印刷をしました。これほどまでの実績を挙げられた背景にははさまざまな要素がうまく絡み合ったことがありますが、もっとも重要な要素となったのはもちろん、「Rapida」ならではの最新の能力とテクノロジーです。当社では導入したすべての印刷機において、一切の妥協なく、いい意味で過酷な稼働状況となっています。24時間フル稼動で大ロット生産に対応することで、当社は何度も生産性の新記録を打ち立てては、それをさらに更新させ続けてきました。 2023年には新たに導入した「Rapida 145」で、24時間で40万2700枚、それを1時間平均にすると1万6779枚を印刷するという、にわかには信じがたい大記録を達成しました。印刷機の最高印刷速度(毎時1万8000枚)とほぼ変わらないこの数値と結果は、現実的に考えられうる最高レベルの傑出した結果です。これは印刷機自体の基本性能の高さと技術の先進性、そしてそれを操作する印刷オペレーター陣の経験とスキルが組み合わさったからこそ得られたものです。


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 ――このような印刷速度で安定した生産を維持するためには、正しいメンテナンスを施すことも重要となります。


Krajewski氏:たしかに、それはおっしゃる通りです。実は、前述の会議において私たちが取り上げた主要な問題の1つがこの点であり、これは戦略的な問題です。もちろん、新しい機械を導入することは、成長を志しているすべての印刷会社にとって素晴らしいことではあります。しかし、その生産性を継続的に維持すること、メーカー側のサービス技術者の能力やトラブル発生時の反応時間の速さ、あるいは必要な部品を効率的に供給してもらうことなども、新しい印刷機を導入することと同じレベルの重要さを持っています。当社の場合、印刷機および後加工機の台数が多いので、とくにそうです。その点、Koenig & Bauerの現地支社では、ドイツ本社からの積極的なサポートを受けながらこの任務を遂行してくれています。だからこそ私たちは、もっとも要求の厳しい仕事でも引き受けることができるという自信と安心感を持つことができるのです。



 ――このパートナーシップは、実際にはどのようなものになるのですか?


Krajewski氏:当社では「予防的メンテナンス」という考え方を重視しています。これまでのような、なにかトラブルが起きてしまってからそれを解決・対処するといった方法よりも、事前に日頃から予防する方が良いと信じています。そこでこのパートナーシップにおいて、社内で稼動している「Rapida」と「Omega」について、年に1度のフルメンテナンスを行います。すべての印刷機は、Koenig & Bauer CEEの技術者によって年に1度、徹底的なフルメンテナンスを受けることになっています。この点検では、機械の現状把握だけにとどまらず、交換または修理が必要となる部品の予測まで含めたレポートが作成されます。これにより、潜在的な障害となる可能性を事前に発見したり、機械がトラブルによって稼働停止してしまう前に摩耗部品を交換したりすることで、ダウンタイムが発生するリスクを回避できます。これはKoenig & Bauerサービスとのパートナーシップのとても重要な部分です。また、極めてすぐれたパートナーシップと「人間的」な側面も強調する価値があります。Koenig & Bauer CEEの技術者に、私たちは親しみを感じています。これは、相互関係の雰囲気が素晴らしいことで、パートナーシップ全体のレベルが大きく高められていることにもつながっています。



 ――Service 4.0を含むIndustry 4.0の一部として当社が提供するツールを使用していますか?


Krajewski氏:はい、もちろんです。4台の「Rapida 145」は、その自動化機能・設定によってリモート診断が可能となっており、メーカーが提供する24時間体制のホットラインもつながっています。当社は、生産工程を合理化・自動化するあらゆるソフトウェアやツールをうまく採用しています。これは、パッケージの印刷工程や後加工工程だけでなく、倉庫や工場内のロジスティクスにも活用されています。当社の工場のひとつには、完成品を保管するための広々とした自動倉庫があり、そこではAGV(自動搬送装置)技術を採用しています。自律走行式の搬送車両の使用と、高度に自動化されたシステムのサポートにより、倉庫管理やロジスティクスを含むプロセスが大幅に改善されました。



 ――加飾技巧について触れますと、貴社はポーランドで初めて大判印刷機にインラインのコールドフォイル装置を搭載したモデルを導入した印刷会社となります。


Krajewski氏:ポーランドで初というだけでなく、当社は世界でもごく僅かしかいない、特殊な能力を持つ存在です。ここで稼働している大判印刷機の1台に、コールドフォイル用の装置を後付け搭載することを決めたのは2015年のことでした。これは、Koenig & Bauerとコールドフォイルの専門家であるVinfoil社とのパートナーシップの成果でした。これがとても成功し、加飾印刷の需要が劇的に増加したため、最新の「Rapida 145」にもコールドフォイル装置を搭載することにしました。当社はこの機械を「特別な仕事」をするための機械だと位置づけています。つまり、要求の厳しいハイテク・パッケージに、高いレベルの差別化を施すための機械です。B倍判でのコールドフォイル印刷の導入により、私たちは顧客ポートフォリオの拡大に成功し、とくにプレミアムなアルコール飲料分野における国際的ブランドを獲得することができました。したがって、この技術は多くの点で効果的であることが証明されました。



 ――貴社は今年も大きく躍進する予感がします。そこで、今後の展望についてお聞かせください。


Krajewski氏:ここ数年、パッケージ印刷市場だけでなく、社会全体の状況に決定的な影響を及ぼすレベルのさまざまなことがありました。2021年は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって2年程にわたった下降局面がありましたが、そこからのリバウンドによる好転がありました。しかし、その翌年にはウクライナ戦争が勃発し、それによってインフレ率がとても高い水準へと急上昇すると、市場はふたたび低迷しました。最悪期は脱したものの、我が国のGDP成長率予測は、数量成長と新市場開拓の両面で、とくに楽観的なものではありません。それでも当社は、意欲的な目標を追求し続け、今後も段ボールパッケージメーカーのマーケットリーダーであり続けるつもりです。


 ――Krajewskiさん、貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。





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MMP Neupack Polska社でオペレーション・ディレクター兼取締役を務めるFilip Krajewski氏は2000年から、この印刷会社がダイナミックな成長を遂げるのを目の当たりにし、その一端を担ってきました。


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MMP Neupack Polska社で稼働する大判印刷機「Rapida」は、ロジスティクスシステムに統合され、超高速なパッケージ印刷に必要なすべての自動化装置を備えています。




本件に関するお問い合わせ先

Koenig & Bauer JP株式会社

TEL 03-5623-3004 FAX 03-5623-3006  E-Mail info@ koenig-bauer.com


Koenig & Bauerについて

 Koenig & Bauerはヴュルツブルク(ドイツ)に本社を置く、世界的な印刷機メーカーです。主にパッケージングの分野で、印刷機および後加工機、ソフトウェアソリューションを製造しています。 Koenig & Bauerが提供するシステムは、紙幣、板紙、段ボール、フィルム、金属およびガラスのパッケージ、書籍、ディスプレイ、コーディング、ラベル、装飾、雑誌、広告、新聞など、ほぼすべての素材に印刷することができます。 Koenig & Bauerは、200年以上の歴史を持つ世界最古の印刷機メーカーであり、今日ではほとんどすべての印刷方式に対応しています。 グループ全体で5,400人超の従業員を擁し、ヨーロッパの10ヶ所で生産を行い、世界規模の販売およびサービスネットワークを構築しています。 2022年には11億8600万ユーロの売上高を記録しています。

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